コンサルの実例を見たい!ケーススタディ

ケース4 : 月末に資金ショート!支払いの優先順位は!?

製造業C社の場合(高槻市 年商3億)

概要

従業員、銀行、取引先…。どこかに迷惑をかける事になる…。
製造業のC社は、利益率が低く毎月の銀行借入返済に資金を回すのがやっとの状態。今後も銀行と付き合いをしていくに当たり、銀行返済だけは遅れてはならないと必至で資金繰りを回してきました。しかし、今回とうとう資金が底をつき月末の支払いができない状態に…。
月末に支払わなくてはいけないものは
「従業員の給料」「銀行への返済」「取引先への支払い」
とてもすべてを払える資金が残りそうもない段階で、C社の社長が私のもとにいらっしゃいました。まず社長が最初に言われたのは、「どこからか資金を調達できませんか?」という相談でしたが、私は、資金調達は不可能であると判断し、社長とともに解決策を練る事になりました。

この会社が抱える問題点

  • 資金が底をつきたが対応策がわからない。支払の優先順位もわからない

解決策

まずは、意識改革!その場しのぎの対応をせず、資金調達に見切りをつける。支払いの優先順位をつけ、実行する。

ここがポイント!:傷口が広がる前に、的確な見切りをつける!
この会社が今幾ばくかの資金調達ができたとして、資金繰りが一時助かったとしても、今後同じことの繰り返しでしょう。要は「どこで見切りをつけるか」です。取引先へ迷惑をかける(被害が拡大する)のが明らかなら「見切り」は早くするにこした事はありません。
ここがポイント!:支払いの優先順位をつける!
1.【従業員の給料】
従業員への給料の支払いはもっとも優先すべき。社内が混乱してはその時点で事業が頓挫してしまいます。
2.【取引先への支払い】
精神的に取引先への交渉が一番辛いかもしれないが、ここは体力的に余裕のありそうな取引先から支払猶予を依頼すべき。誠意を持って真実を話すことが重要です。
3.【銀行への返済】
「返済が遅れると二度と借入ができなくなる」との恐怖心から銀行の借入返済を優先すれば、給料が滞り社員が離れ、事業が回らなくなり破産手続きに至ってしまうことも。あくまで事業を続けられる事が最優先です。

その結果

従業員への給料の支払い、外注先の一部への支払いを実行!外注先の一部と、銀行への返済を行う余裕がなかっため、さらに3つの対応を講じた。1. 銀行に利払いのみのリスケジュールを要請 2. 外注先に支払い猶予の依頼 3. 従業員を集め会社の資金繰りの状況を報告

その結果

1.リスケジュール交渉を受諾していただき、毎月の銀行返済額が大幅に減少! 2.外注先への支払い猶予の交渉に成功!4社中2社には納得頂く。 残り2社も交渉を行い、分割払いで最終納得頂く。 3.従業員が団結し、士気が向上。事業の頓挫などの事態から回避!

社長さんからの声

いよいよ月末に資金が回らなくなるという状況になって、何から手をつけてよいか判らなくなりました。本業の仕事もあるし、誰にも相談できない状況でした。こういう後ろ向きな仕事に「優先順位」をつけてひとずつ「実行」していく作業はひとりでは絶対にできません。今回スタードッグスの前田さんに手伝ってもらえて幸運でした。

スタードックスからコメント

経済環境が厳しい中、中小企業のこういった状況は増えています。経営者はどうしても会社に対する思い入れや、期待感から現実的な手段(今回でいえばリスケジュールや従業員への報告)が断行できない事が多いです。
リスケジュールに関しては、「今後、銀行から借入ができるかどうか」がポイントとなります。今後も銀行が積極支援してくれるのであれば、リスケジュールは避けるべきですが、大体のパターンはすでに銀行借入が目一杯でこれ以上の借入が見込めない事が多いので、相対的に「早い目にリスケすべき会社が多い」のが現実です。
しかし皆さん「もしかしたらまだ借入できるかも…。」「何とか資金が回るかも…。」という淡い期待感からリスケジュールなど現実的な決断をできない方が多いです。
また、給料支払いに関しては最終的に行き詰って、給料支払いがストップした状態で初めて従業員に対して説明するなどタイミングが遅すぎると従業員の不審と不安感を煽り、内部分裂して即刻事業が立ち行かなくなる可能性もあります。
給料が遅れる可能性がある場合は早い目に全従業員を集めて社長自らの口で「現状」と「対策」と「思い」を伝えるべきでしょう。
このような話は私の経験上、社長ひとりで判断を進めるのが非常に難しいです。
なぜなら、先述のとおり「経営者は会社への思い入れから淡い期待を抱き、現実的な決断をできない」事がほとんどだからです。
当社などのコンサルティング会社を「第三者の目で会社を客観的に判断してもらう機関」として利用するのも良いかもしれません。