コンサルの実例を見たい!ケーススタディ

ケース2 : 戸建分譲業者“商品在庫土地”を使った運転資金調達

不動産業F社の場合(吹田市 年商10億)

概要

建築代としての運転資金融資がストップ!どうする!?
戸建住宅分譲業者のF社。4つの銀行と1つの信金から主に戸建住宅用地の仕入れ資金と無担保の運転資金の借入を行っていましたが…
続けざまに2行の銀行が今後運転資金の融資ができない旨
を伝えてきました。
銀行「これまで通り土地の仕入れ代金の融資はやらせて頂きますので…。」
社長「せやかて、建築代の運転資金を出してもらわんと、土地仕入れても建物建てられへん。売れた時にお客さんから代金は入るけど、売れるまで下請け業者には出来高払いで払ったらなアカンねんで。」
銀行「ええ、それはよくわかっているのですが...。」
社長「なら、建築資金も出してよ。商売できへんわ。 今まで定期も投信もさんざん協力してきたやんか。」
銀行「ええ…しかし……。」
結局、この2行からの今後建築代としての運転資金融資はストップ。
社長は他に付き合いのある銀行や新しい銀行に建築代の運転資金を貸してもらえるよう交渉したのですが、いずれも良い回答を得られませんでした。
これまでF社は借入できる銀行からは全て借入を行い、従業員も増やして事業規模を拡大。手元に資金が残っている場合は積極的に土地仕入れの手付金を支払い、仕入を増やして来ました。
社長は銀行から建築代の融資をしないと言われるとは想定していなかったため、
余分な手元資金を確保していなかったのです。とはいえ下請け業者に支払う資金が遅れては、今まで築いてきた下請けとの良好な関係に水を差す形になるのでどうしても避けたい所です。
目先3000万円程度の下請けへの支払いが発生してきます。困りました。

この会社が抱える問題点

  • 建築代の融資が出なくなった時を想定したリスク管理ができていなかった。
  • 拡大路線を歩み余剰金は既に投資済み。手元に余力資金を残していなかった。

解決策

銀行が行う戸建分譲住宅のプロジェクト融資をうまく活用し、担保を確保。運転資金の調達をノンバンクへ依頼。

ここがポイント!:「戸建分譲住宅」で資金調達!
例えば「10区画の現場に2億円貸すので、8区画売れた時点で全額返済して下さい(1区画当たり2500万円の返済)」というものがあります。すると8区画売れた時点で借金は全額返済しているため残り2区画はサラの担保物件が手元に残っている訳です。この2区画を担保に建築代として運転資金の調達の依頼が可能になります。

その結果

ノンバンクから運転資金4000万円調達!

今回の教訓より、余裕の無い拡大路線を是正。手元資金に余裕を持たせた経営方針に転換。

その結果

良い物件だけを仕入れるようになったために利益率が向上!売上高は減少したものの、各銀行へ自社の経営戦略を事前に説明していたため、取引も良好に継続。

社長さんからの声

今回、下請け業者に支払う運転資金に行き詰ったため、空き物件を利用してノンバンクからの資金調達で急場をしのげました。非常に助かりました。ただ、同業他社でも融資の貸し渋りが増えていると聞きます。今後は事業のやり方を見直さないといけないと実感しました…。

スタードックスからコメント

今回の戸建住宅分譲業者のF社は銀行からの借入で土地を仕入れ、その土地に住宅を建てて一般消費者に販売する住宅分譲業者としてオーソドックスな経営を行っていました。住宅を建築する際には下請け業者に出来高払いで支払いを行っていくため、自社で抱える分譲案件が増えれば増えるほど下請業者に支払う資金は増加する。銀行は土地仕入の資金に関しては仕入れる土地を担保に取るので融資してくれるが、下請けに支払う住宅の建築資金に関しては、担保が無いので無担保の運転資金での融資となるパターンが多かったのです。
銀行からすれば土地を担保に融資をするのは「保全」が効くのでやりやすいですが、無担保の融資(いわゆる“信用”の出る部分)は万が一、会社が倒産した場合に取りっぱぐれる可能性があります。
戸建分譲業界で倒産率が上昇したり、銀行全体の貸出債権の不良債権比率が増えたりすると、まずはこの“信用”の発生する運転資金部分から融資を見合わせてくる事は予想しておかないといけません。「借りられるから」という理由で余力なくフルスイングで経営を進める事は会社にとって大きなリスクとなります。
自社の業界動向や銀行の動向を日々チェックしておく必要があるでしょう。
そんな情報収集のツールとしてスタードッグスをご利用頂くのもひとつの手だてとしてオススメです。